2012年9月17日月曜日

My musical history(番外-1)

資料の整理をしていたら貴重なスコアが出てきました。私の音楽の歴史、若い方から順に進めていますがこれは比較的最近なので番外-1としました。いずれどこかの番号に再録するつもりです。

セガがCD-ROMを使ったゲーム機「セガ・サターン」を発売した時、従来のゲーム機とはここが違うのだ!ということをアピールしたくて敢えてシンセサイザーではなく、生のフル・オーケストラ録音をしたオーケストラ・アレンジのスコアです。
ゲームは「パンツアー・ドラグーン」と言います。

作曲は別の方ですが、生のオーケストラにおけるオーケストレーションや録音の経験を買われて頂いたオーケストラ・アレンジの仕事でした。とにかく生のフル・オーケストラによるリアルで迫力あるサウンド!を求められました。

ゲーム冒頭のイントロは作曲者が書いたものではなく、私が創作したものです。フラッター・タンギングによる4本のホルンが勇壮かつ重厚にファンファーレを演奏します。
このイントロに続いてテーマ曲(M-1)、次いで戦闘シーン(M-2)と続きます。ゲームと同時に発売された音楽CDにはテーマ曲(M-1)の長いバージョンが収録されていますが、ゲームではその途中までが使われています。
そしてエンディングのスタッフ・ロール用の(M-3)。この画像はスタッフ・ロールの中にある作曲者とオーケストラアレンジ担当の私のクレジットです。

私の師匠である管野光亮先生(故人)は映画「砂の器」の音楽で脚光を浴び、続いてテレビ・ドラマ「白い地平線(1975年4月4日~9月26日TBS系列放映・田宮二郎主演の白いシリーズの第3作)」などの音楽を担当されました。その音楽は生の大編成のフル・オーケストラによる迫力のサウンドが特徴でした。
私は師匠の音楽制作現場で実際に一部を担当し、貴重な経験を積むことができました。
その後にシンセサイザーが登場し、いわゆる打ち込みによる録音が実用化されます。映画やテレビの音楽にとどまらずあらゆる音楽制作が生楽器からシンセサイザーや打ち込みに変わってゆきました。
その結果、生楽器のオーケストレーションや録音の技術が修練されず経験も蓄積されないことになったのです。

生楽器には適正な音域があり、これを無視してはいけません。シンセサイザー等では演奏可能でも生楽器の音域外に書くと録音ができないのです。
(M-3)の原曲のキーはメロディを演奏するホルンにとって事実上演奏不能なため長2度下げました。するとやや落ち着いた響きになり、スタッフ・ロールのイメージというかゲームの余韻に浸る感じにもなったのです。

オーケストラの編成は左のとおりですが、戦闘シーン(M-2)ではオーケストラによるアタック音(一番上の画像の下にある白いスコア)をダビングしたのでこの編成の2倍近い人数による分厚いサウンドとなっています。




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