2014年8月12日火曜日

アイ・ガット・リズム(I Got Rhythm)

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「アイ・ガット・リズム(I Got Rhythm)」は1930年に発表されたジョージ・ガーシュウィン作曲、アイラ・ガーシュウィン作詞によるスタンダード・ナンバーです。
この曲のコードの進行は「リズム・チェンジ」と呼ばれ多くのジャズ・ナンバーの基礎となっています。
循環コードでもあり、本投稿後半で解説します。

今回の書いたピアノソロ譜とは別にピアノ連弾譜を出版していますが、その冒頭部分のアイディアは1951年ミュージカル映画「巴里のアメリカ人」の中でジーン・ケリーがフランス人の子供たちと歌い踊るシーンを参考にしています。

ピアノソロ譜にはヴァース(Verse)を加えました。ヴァースはミュージカルで歌の本体部分、これをコーラス(chorus)とかリフレイン(refrain)と言いますが、本体の前に歌われる序唱のことです。

・各種の循環コード

「ハート・アンド・ソウル」はドラレソの循環コードでした。この曲もコーラスの最初はドラレソ、キーがB♭メジャーなのでコードとしては譜例(a)の様になります。
これを繰り返してもよいのですが少し変化をつけます。最初のトニック・コードを第一転回形に変更、次のコードはその半音下のディミニッシュ・コードです。なおこのパターンに入る前にⅤ7の第三転回形(ベースはⅣ音)を使いトニック・コードの第一転回形(ベースはⅢ音)になめらかに連結することも考えて見ましょう。このパターンでは音が共通する2声部と半音で下方変化する2声部(ベース・ラインと3度でハモる内声)に注目してください<譜例(b)>。
循環コードのパターンとしてパッシング・ディミニッシュ(譜例ではBdim)を利用する方法もあります。このアレンジでは使用していませんがコーラスの最初にこれを使うことができます<譜例(c)>。

これまでのパターンの後半はツゥー・ファイブ(Ⅱ-Ⅴ)でしたが、コーラスの5~6小節では後半にサブドミナント・コード(Ⅳ)→サブドミナント・マイナー・コード(Ⅳm)という進行を利用しています。Ⅳの前にはⅠ7これは次のⅣに対するセカンダリー・ドミナントセブンス・コード(Ⅴ7 of Ⅳ)、そしてⅠ7は第三転回形(7thがベース)、ⅣとⅣmはそれぞれ第一転回形、ベースがⅠ音→♭Ⅶ音→Ⅵ音→♭Ⅵ音と下がって行き、次のⅤ音(ドミナント)へ更に半音下行することになります。Ⅳmには6thを付け加えることが多いので覚えておきましょう<譜例(d)>。

この曲のサビは非常に有名なパターン、多くのジャズ・ナンバーのサビに見られます。全てセカンダリー・ドミナント・セブンス・コード、Ⅲ7(Ⅴ7 of Ⅵ7)→Ⅵ7(Ⅴ7 of Ⅱ7)→Ⅱ7(Ⅴ7 of Ⅴ7)→Ⅴ7となります。これは最後のⅤ7から反対に前の方へ見て行く方がわかりやすいと思います。

これら各種の循環コードについては拙著「標準ポピュラー音楽理論」や「標準ポピュラーコード理論」もご参照ください。

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